高野山大学(和歌山県高野町、松長潤慶学長)は8日、文学部教育学科の学生募集を2026年度入試から停止すると発表した。在学生がすべて卒業するまで、学科は存続する。
高野山大学は文学部と大学院文学研究科がある単科大学。文学部内に、僧侶の育成のほか社会人の「学び直し」にも対応する密教学科と、小学校教諭免許や中学・高校教諭免許(英語)の取得をめざす教育学科の2学科がある。
教育学科は「真言宗の宗祖・弘法大師空海の教育理念を生かす」として21年度に開設された。高野町の高野山キャンパスとは別に、教育学科用の河内長野キャンパスが、大阪府河内長野市にある大阪千代田短大の校舎を共同使用するかたちで新設された。
だが、開設がコロナ禍と重なったことや、教員志望の高校生の急速な減少などから、志願者集めで苦戦が続いた。入学者は定員50人に対し21年度は11人、22年度は20人、23年度は7人、24年度は5人にとどまった。
25年度からは入学定員を15人に減らし、今月、4人の新入生と1人の3年次編入生を迎えた。28年度からは河内長野キャンパスを閉鎖し、教育学科も高野山キャンパスに移ることがすでに決まっていた。在学生がいなくなった時点で教育学科を廃止する手続きをとり、密教学科1学科だけとなる。
高野山学園理事長時代から教育学科の開設を主導し、3月末に退任した添田隆昭・前学長は「教員を目指した今春卒業の1期生8人のうち4人が大阪府や堺市などの教員採用試験に合格し、一定の社会的使命は果たせた」と話している。