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政府に怒りをぶちまける丸山達也知事=2025年2月18日午後0時42分、島根県庁、垣花昌弘撮影

 丸山達也島根県知事は18日の定例会見で、医療費の患者負担に月ごとの限度を設けた「高額療養費制度」を見直し、自己負担の引き上げを提案した政府について「国家的殺人未遂だ」と述べた。

 制度の見直しについては、患者団体が「治療と仕事を両立する現役世代の患者の生活が破綻(はたん)する可能性がある」などと反発。国は長期間の治療が必要な人の負担増を見送った。

 丸山知事は制度の見直しを、生存権を保障した憲法25条に違反すると指摘。「治療を余儀なくされている人に対して、治療を諦めざるを得ない状況を制度的に作るということは国家的殺人。提案されたというだけでも国家的殺人未遂だと思う」と発言した。

 さらに、「国民を殺そうとしたと言い切ってもいいと思う」と見直し自体の凍結を求め、「国民を死に追いやるような政策決定」をした官僚や政治家の責任を問うべきだと主張。「日本の統治機構の戦後最大の汚点」と批判した。国会で議論されている高校授業料の無償化に触れ、「経済的負担の軽減と、お金がなくて、できる治療を断念して寿命を迎えないといけない話と、どっちが優先なのか。答えは明らかだ」と述べた。

 高額療養費制度には、月ごとの限度額に加え、長期の治療を受ける人向けの「多数回該当」という仕組みがある。直近12カ月以内に3回以上、限度額に達した場合に、4回目から限度額が引き下げられる。2025年8月から27年8月にかけて、3段階での引き上げを想定していたが、政府はこれを見送る。最終形の27年8月には「年収約650万~約770万円」の中間層で3万2400円増の7万6800円になる予定だったが、現行の4万4400円に据え置く。

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