静岡県内で、高齢の運転手による死亡事故が増えている。今年の交通事故による死者32人(21日現在)のうち、16人が65歳以上の運転手による事故で亡くなった。昨年1年間の22人を上回るペースで、県警は注意を呼びかけている。
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浜松市では3月、78歳の男性が運転する軽トラックが自転車に乗っていた小学生女児4人をはね、石川琴陽(こはる)さん(当時8)が死亡した。県警によると、16人の死者のうち6人が歩行者で、同乗していて亡くなった人も1人いた。
県警の統計では、県内の人身事故は2015年から24年までの10年でほぼ半減した。だが、24年の65歳以上の高齢者による人身事故は15年比で71%、75歳以上では同93%と高止まりしている。高齢者人口が増えていることもあるが、全体に比べると減り幅が少ない。
県警交通企画課の堀井泰孝管理官によると、高齢者の事故は追突事故の割合が全ドライバーと比べて少なく、出合い頭の事故が多いのが特徴だという。運転支援システムの普及やスマートフォンに気を取られるなどの脇見運転が高齢者では少ないことが、追突事故が少ない理由とみられる。一方で、加齢により視野が狭くなり、出合い頭での事故が起きやすくなる。
県警は高齢者に運転免許の返納を呼びかけてきたが、中山間地では車が運転できないと生活が立ち行かなくなるケースもある。このため、見えにくい夜間や雨の日には運転を控え、慣れない道は通らないなど、いかに安全に運転するかの啓発にも力を入れる。
堀井氏は「万が一人身事故を起こしたら、被害者やその家族だけでなく、自分も苦しむことになる。事故はひとごとではないと考え、安全運転するように気をつけて欲しい」と話す。
また、県警は安全運転相談窓口を設けており、電話で「#8080(シャープハレバレ)」にかけるとつながる。堀井氏は「本人だけでなく家族の相談も可能。運転で悩みがあれば気軽に相談してほしい」としている。