背中がひどく曲がっておなかが圧迫され、苦しい――。医療相談のコーナー「どうしました」に、80代の女性からSOSが届きました。

 数年前に「変性側彎(そくわん)症」と診断されたものの、体力が足りず手術はできないと言われたそうです。骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の注射を毎日打ってリハビリを続けていますが、腰痛に加えて、腹部の圧迫で胃腸の調子も悪く、家事もおぼつかない日々だといいます。どのような対処が可能なのか、側彎症の専門医である国立病院機構神戸医療センター名誉院長の宇野(うの)耕吉(こうき)さんに聞きました。

杖をつくお年寄りたち

 Q 変性側彎症とは?

 A いわゆるお年寄りの背中曲がりのことです。脊椎(せきつい)(背骨)が左右に曲がることを「側彎」といいますが、変性側彎症は前後に曲がる「後彎」を伴うことも多くあります。その場合、体の前後のバランスが崩れ、長時間立ったり歩いたりする際に腰痛が生じたり、胃が圧迫されて胸焼けになったりと、日常生活に大きく影響します。

 Q なぜ背骨が曲がるのでしょうか?

 A 加齢や骨粗鬆症が主な要因です。年をとると、骨の間でクッションの役割を果たしている「椎間板(ついかんばん)」が縮み、背骨がひしゃげてゆがんできます。骨粗鬆症も、背骨のゆがみの原因になります。

 加齢による椎間板の縮みはどうしても生じますが、骨粗鬆症は予防や薬による対処が可能です。

 Q どんな人に多いですか?

 A 明確な理由はわかっていませんが、高齢女性に多い傾向があります。女性は骨粗鬆症になりやすい。また、若い頃に側彎があった女性が高齢になってゆがみがひどくなるパターンも多く見られます。側彎症の中でも多くを占める「思春期特発性側彎症」は、女性患者が男性の7~8倍いるとされています。

 Q 主な治療法は?

 A かつては保存療法しかなく、手術はできないと言われていましたが、15年ほど前から、外科手術で脊椎と骨盤の位置を調整して、曲がりを矯正する処置が日本でも広まりました。背骨の左右に大きなねじを複数入れ、「ロッド」と呼ばれる金属の支柱で骨を固定することで、姿勢がよくなり、腰痛の解消も期待できます。若い人であれば1カ月ほど、高齢の方はさらに2カ月ほどリハビリを経て退院します。

手術のメリットとデメリット セカンドオピニオンも考えて

 Q 誰でも受けられるのです…

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