犬猫の殺処分を減らそうという取り組みが各地で進むなか、高齢者のペット飼育を巡る問題が、動物愛護行政における主要な課題の一つになっている。いまやペットは「家族の一員」と言える存在だが、高齢者はペットが命を終えるまで飼えるかどうか――。全国の自治体に調査、取材すると、飼い主の高齢が原因とみられる犬猫の飼育放棄に苦慮する実態が見えてきた。
高齢が原因、飼育放棄の4割前後占める
調査は昨年12月、動物愛護行政を担うすべての都道府県、政令指定都市、中核市を対象に行った(129自治体、回収率100%)。すると2023年度、高齢者から、または入院・入所や死亡など高齢が原因とみられる理由で飼育放棄された数が、犬は少なくとも746匹、猫では同2909匹にのぼっていたことがわかった(10自治体は放棄理由などが未集計、9自治体は件数で回答)。
集計があった119自治体でみるとこの年、飼育放棄された犬は計1572匹、猫は計7688匹だった。高齢が原因のものは、そのうち犬で47・5%、猫で37・8%を占めたことになる。5割以上にのぼった自治体も犬では58、猫で44もあった。
自治体の現場からは問題を指摘する声が多数寄せられた。東京都は「死亡や健康問題を理由とした引き取りが多くを占める」とし、大阪府も「高齢者はペットを残して入院や死亡する可能性が高い」。盛岡市でも「高齢により適正飼養が困難になったり、引き取りにつながったりする事例が多い」という。
増える高齢者の飼育放棄、猫では41自治体で
さらに埼玉県からは「高齢の…