高齢者の自宅などでヘルパーが身体介護や生活の手助けをする「訪問介護」のサービスを担う中小事業者が苦境に立たされている。東京都西東京市では、経営難で賃金を十分に上げられず、人手不足に直面する事業者も出てきた。市は支援の強化を図るが、光明は見いだせていない。
介護事業者は、国が定める介護報酬の中からヘルパーに賃金を支払っているため、賃金を上げると経営が圧迫されます。一方、人手不足でサービスを提供できなければ、報酬自体が得られません。こうしたジレンマに四苦八苦する訪問介護の現場を取材しました。
市役所田無庁舎のロビーで5月17日、「訪問介護お仕事フェア」が開かれた。ヘルパーの仕事に関心を持ってもらうため、市内の10の介護事業者が参加し、市も協力した。
来場者からは「市内で訪問介護の需要はどの程度あるのか?」といった疑問のほか、働き方や資格取得の流れについての質問があった。事業者側は「人手が足りないくらいで、資格を取ったら引く手あまただと思います」などと、熱心に答えていた。
市内に住む高橋美樹さん(62)は「自宅で過ごす高齢者を支える仕事がしたい」と会場に足を運んだ。88歳で亡くなった母親の車いすを押し、各地の神社仏閣を巡ったことが心に残っているという。「ヘルパーの方に直接相談できてよかった」
ヘルパー不足に危機感を募らせてフェアを企画した「訪問介護ひばり」の大沢幸一郎社長(48)は「少しの手助けがあれば、長年の習慣だった料理や買い物を続けられる高齢者も多い。この仕事のやりがいを発信したかった」と話す。
同社では、約130人の利用…