イメージイラスト・永井芳

 飲酒行為を理由に退学を強いられたとして、女子生徒が高校を訴えた。「飲酒は学校から排除するほどの悪さではない」と主張する生徒と、「飲酒は法違反で退学は当然」と反論した高校。裁判所はどう判断したのか、判決や訴訟資料から振り返る。

 女子生徒は2022年、関東地方の高校に入学した。ずっと目標にしていた志望校だった。

 生徒が飲酒したのは、高校1年の夏。友人の家に5人で泊まった際、友人が買ってきた酒を夕食後にみんなで飲んだ。

 この様子を友人がインスタライブで動画配信しており、のちに高校が知って飲酒行為が明るみに出た。

 教員から事情を聴かれた生徒は当初、「お酒ではなくジュース」とウソをついた。だが、お酒で乾杯する様子などを撮影した別の動画が見つかり、生徒は飲酒を認めた。

登校させてもらえず自主退学

 高校は登校しないよう生徒に指示し、「自主退学しなければ退学処分にする」と勧告した。

 登校できない状態が続いた生徒は「勉強が遅れてしまう」と焦り、22年冬に自主退学して別の高校に転入した。ただ、納得して退学したわけではなかった。

 酒を飲んだのは自分が悪い。でも、1回の飲酒だけで退学なんて、重すぎる――。

 生徒は23年に高校を提訴した。

高校側は「普段の素行」も挙げて反論

 高校は、裁判で真っ向から反論した。「生徒は勧告を受けて自主退学したに過ぎない」とし、飲酒による退学は校則に明記されていないが「未成年の飲酒は重大な法律違反だ」と主張した。飲酒の様子をSNS投稿したことは高校の評判に悪影響を与える、とも指摘した。

 さらに、飲酒とは別の「非」…

共有
Exit mobile version