今年春に高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)に感染した米国の酪農従事者から採取したウイルスが、ヒトの肺の細胞で効率よく増えることがわかった。乳牛でH5N1感染が広がる米国では乳牛から人への感染も散発的に起きており、研究チームは感染対策の強化を求めている。研究成果は10月28日付の英科学誌ネイチャーに発表した(https://doi.org/10.1038/s41586-024-08254-7)。
今回調べたウイルスには、哺乳類の細胞で増えやすくなり、病原性が高まるとされるアミノ酸配列の変異があった。実際、フェレットなどを使った実験では、感染した乳牛から採取したウイルスを使った研究チームの以前の実験よりも、病原性が高まっていることが判明した。
現在、米国の乳牛で流行しているウイルスにはこの変異がないが、研究チームの河岡義裕・東大新世代感染症センター機構長は「流行中のウイルスが同様の変異を獲得する可能性もある」と指摘する。
米国では3月以降、乳牛のH…