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 日本海に面した鳥取砂丘から車で約50分。山並みに抱かれた川沿いの集落に、目指す建物はたたずんでいた。

 鳥取市佐治町(旧鳥取県佐治村)の「プラザ佐治」。高度成長期に過疎化が進んだ山村を振興するため国が全国10カ所で建設を進めた大規模なコミュニティー施設「豪雪山村開発総合センター」の一つだ。完成は1971(昭和46)年。機能性や合理性を理念とするモダニズム建築を手がけた建築家、安田臣(かたし)(1911~77)が設計した。

後ろの山が借景となり、建物と不思議な調和を保っている=鳥取市佐治町、上田潤撮影

【撮影ワンポイント】プラザ佐治

背後の木立が借景になっていて不思議な調和を感じる。建物と木立、手前の中庭もセットにすると、なお美しい。広角レンズを手に、役場棟の屋上に上がったり、中庭に座ったりして、三つが調和するように画角を調整した。影が出てしまう時間帯が多いのが難点だった。(上田潤)

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 向かい合う鉄筋コンクリート造り3階建てのセンター棟と2階建ての役場棟は、いずれも「くの字型」。建物の断面は台形で、センター棟の外壁のギザギザ模様が山の景色に溶け込む。役場棟は5年前に耐震改修された。

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屋上から見ると、庭を挟んで2棟が「く」の字で向き合う=鳥取市佐治町、上田潤撮影

 「中を案内しましょうか」。役場棟に入る市の総合支所の職員、竹内愛さん(47)が外に出てきてくれた。平日の勤務中、窓の外に来訪者の姿を見つけると声をかけているそうだ。

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使われなくなったセンター棟から、向かい合う役場棟が見える=鳥取市佐治町、上田潤撮影
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センター棟の案内板=鳥取市佐治町、上田潤撮影

 人が集まる広場に――。旧佐…

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