鳥取県知事の平井伸治さん

 7月の東京都知事選で、選挙ポスターの掲示枠が事実上販売されたり、広告に利用されたりする事態が起きました。これがほとんど放置されたことを強く批判しているのが鳥取県の平井伸治知事です。「いまの法律でも対応は可能だったはず」とはどういうことなのか。総務官僚時代に長く選挙行政にかかわった経験のある平井知事に聞きました。

     ◇

 ――都知事選で選挙と関係のないポスターが大量に掲示されたのをどうみましたか。

 「ショックでしたね。ああいうポスターが貼られたこと以上に、想定外の事態なので現在の公職選挙法では対応できない、という論調で報じられたことがショックでした。そうした考えは、明確に間違いだからです」

 「私自身、若い頃から旧自治省で官僚として公選法の解釈に携わっていました。1990年代前半の政治改革の渦中で公選法や政治資金規正法の改正にもかかわり、苦労した一人だという自負があります。だからこそ、今回の事態には黙っていられません」

 「公選法第144条の2は、『候補者』が『選挙運動』のためのポスターを掲示場に『それぞれ一枚』限り貼れると規定しており、都知事選で大量に貼られた選挙に無関係のポスターはこれら全てに違反しています。放置すべきではないものだと考えます」

 「公選法では、風俗営業関連サイトに誘導するポスターを掲示場に貼っていいとはどこにも書いてありません。ポスター掲示場に貼ってよい、貼ることが保障されているのは、選挙運動のためのポスターだと書いてあります」

 ――選挙運動のためのポスターかどうかはどうやって見分けるんですか。

 「これはちゃんとした定義が…

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