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鳴門の橋本朋来投手=2025年7月29日午前10時1分、むつみ、吉田博行撮影

 (29日、第107回全国高校野球選手権徳島大会決勝 鳴門4―0鳴門渦潮)

 リードして迎えた九回表2死一塁、マウンドに立つ鳴門の橋本朋来(ともき)投手(3年)は、鳴門渦潮の4番、長嶋颯斗(はやと)主将(3年)にファウルで粘られていた。

 「相手は主将で4番。真っすぐで打ち取りたかった」。気持ちの入った114球目、140キロの直球に、相手のバットは空を切った。マウンドに駆け寄ってきた仲間にもみくちゃにされながら、優勝の喜びを分かち合った。昨夏の覇者相手に、堂々の完封勝利だった。

 春の四国大会まで、球速は130キロ台後半だった。ランニングと食事トレーニングを重ね、夏に球速が増した。今大会、投打でチームを引っ張る存在に成長した。

 初戦の板野戦は、3番手で登板し3回無失点。準決勝の徳島商戦でも、最速145キロの直球と自慢の制球力で、2点を奪われながらも完投して勝ちきった。

 打者としても、準決勝まで打率4割6分2厘の数字を残してきた。この日も、初回に先制の適時打を放ち、チームを勢いづけた。得点にはつながらなかったものの、七回にも二塁打を放った。

 こうした持ち味を発揮できるのは、仲間の支えがあるからだ。

 五回の守備では、自らの失策で無死一、二塁のピンチを招いた。それでも、後続を三振と併殺打に打ち取って切り抜けた。

 「野手たちが『後ろで必ず取る』と言ってくれて、ほかの投手たちも『おれらがおるけん、打たれても大丈夫』と励ましてくれた。おかげで安心して投げられた」

 いよいよ夢の大舞台。「強い相手に自分の投球がどれだけ通じるか試してみたい。甲子園を楽しみ、校歌を歌いたい」と意気込んだ。

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