(29日、第107回全国高校野球選手権徳島大会決勝 鳴門4―0鳴門渦潮)
鳴門渦潮に再び、「あと1勝」の壁が立ちはだかった。
昨秋の四国大会。あと1勝していれば、今春の選抜大会に出場できる可能性が高かった。今春は県大会の準決勝で敗れ、春の四国大会の出場はかなわなかった。今度こそ、と迎えた夏だったが、やはり寸前のところで甲子園に手が届かなかった。
大城礼投手(3年)は初回に先制され、今大会初めて追う試合展開となった。「直球が伸びていなかった。きわどいところを狙う制球も微妙に甘かった」
五回の無死満塁のピンチは踏ん張り、無失点で乗り切ったが、六回、八回にも長打を浴び、引き離された。「あと1勝」を意識しすぎて、「自分の弱さ、決め球を投げきれない部分が出た」。
打線も、相手投手の低めのスライダーに対応できなかった。長嶋颯斗主将(3年)は九回2死一塁の場面で打順が回ってきた。「何とか後続につなぎたい」。そう願って打席に立ったが、外角高めの直球に空振り三振し、打席にしゃがみこんだ。「犠打のミスや失策が勝負を分けた。力に差がありました」
「『あと1勝を勝ちきる』というのは、本当にすごい(大変な)こと。優勝と準優勝の差を感じたけど、やりきれた、という思いはあります」。最後は前を向いた。