千葉県鴨川市太海の城西国際大学安房キャンパス跡地に、学校法人日本航空学園(山梨県)が運営する日本航空高校通信制のサテライトキャンパス(分校)が早ければ来年4月に開校する見通しになった。通信制だが、通学制度があり、生徒が住民票を移して生活しながら通う形になるという。開校後5年目には生徒数300人になり、学生約300人が在籍していた大学移転後の課題が解決した形になる。
学園によると、当面は女子の野球とサッカーなどスポーツ志望の生徒を募集。能登半島地震で被災した同校石川の女子サッカー部の活動拠点も移す。将来的には高校本校の認可申請などを行い、男子生徒の募集、ドローン教育を含めた本格的な航空人材育成を目指す。
すでに認可を受けた通信制高校なので、市が受け入れを承諾すれば、すぐに開校できるという。
同キャンパスは市が「太海多目的公益用地」とし約88億円を投じて造成した。県のコンベンションホール誘致を目指したが実現せず、同大の観光学部を誘致した。市は当初3.7ヘクタールを無償譲渡し、2006年4月に同学部が開設され、地上5階地下2階建ての学部棟や「グローバル・ヴィレッジ」「ラーニングセンター」などが整備されて、安房キャンパスと称された。
しかし、経営の合理化などを理由に、22年度から東金キャンパス(東金市)に移転して閉鎖された。若者の流出のほか、受け皿のアパート経営などに影響が出ていた。
跡地の活用として市と同大は利活用する事業者を募り、22年から今年7月まで9回の審査で11件について検討してきたが、不調が続いた。公募とは別に、同大は学園と連携協定を結んでいたことから話がまとまったという。
市は6日に3者で基本協定書を締結。9日、開会中の12月定例議会に計約14ヘクタールの無償貸し付けに関する議案などを提出した。市は「遊休地化していた跡地の活用は市の大きな懸案事項だった。新たに学校が来ることで地域の活性化が期待できる」としている。
学園は1932年創立。国内最大、最古の航空従事者養成の専門校で、山梨県甲斐市と石川県輪島市、東京都青梅市、北海道千歳市で高校、専門学校などを運営している。