「ノンフィクション落語」に力を入れる笑福亭鉄瓶=岩本修弥撮影

 当事者に直接話を聞き、その人の人生を落語で表現する「ノンフィクション落語」。そう名付けた噺(はなし)を3年前に始めた落語家・笑福亭鉄瓶(てっぺい)が、4本目となる新作を完成させた。テーマは「おじいちゃんと孫の物語」。10、11月に開く独演会で初披露する。

 物語の舞台は、群馬県安中市の山あいにあるJR横川駅。市の観光機構の職員として働く主人公の男性はある日、地域活性化のために廃線跡を生かした鉄道イベントを任されることに。準備を進める中で、祖父が国鉄職員だったことを思い出す。話を聞くと、偶然にも祖父は横川で機関士をしていた経験があった……。

 鉄瓶は、このエピソードを新聞記事で知った。「イベントを任されなければ、祖父のことを知る機会はなかった。こんな偶然ってあるんや」。男性と連絡をとり、群馬まで話を聞きに行った。廃線跡なども一緒に歩いて回った。

 ノンフィクション落語をつくるにあたって、こだわっていることが二つある。一つは直接取材をすること、もう一つは落語が出来上がったら見てもらうこと。「自分の琴線に触れたものだけでつくりたいんです。偉そうやけど、そう思ってます」

 9月中旬、出来た落語を男性…

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