西之表港に並ぶ市長選のポスター=2025年1月29日、鹿児島県西之表市、加治隼人撮影

 2日に投開票された鹿児島県種子島の西之表市長選で、無所属現職の八板俊輔氏(71)が新顔5氏を破り、3選を決めた。着工から2年が過ぎた馬毛島への自衛隊基地建設で、暮らしにさまざまな影響が生じるなか、2期8年の経験を強調して混戦を制した。当日有権者数は1万1947人。投票率は71・89%(前回80・17%)だった。

 八板氏は3期目を「仕上げのとき」と位置づけ、市政継続が必要だと訴えてきた。

 初当選した2017年以来、基地反対を掲げてきたが、2期目途中の22年に国が馬毛島への基地整備を決めると、「市民の分断を避けたい」として反対を封印し、国の米軍再編交付金を受け入れた。今回の選挙でも八板氏は「二者択一で問題は解決しない」として、賛否を示さない姿勢を貫いた。

 23年の着工後、市内では家賃高騰や住宅不足、基地関連の仕事への人材流出など、さまざまな影響が顕在化している。こうした課題について八板氏は「国と交渉にあたれるのは、激動の数年間を担った私しかいない」と現職の実績を強調。「戦闘機が種子島上空を飛ばない保障を国に取りつける」「失われるものを超える恩恵を引き出す」などと、賛否双方の立場に配慮を見せた。

 そのほか、産業振興や子育て支援、人材確保の支援、空き家の活用、高齢者の買い物支援などの施策も掲げた。

 対する新顔5氏のうち4氏は基地に賛成・容認の立場。自民党国会議員や県議の支援を受けた池田恵衣子氏(70)は、基地を受け入れて前向きに議論すべきだと訴え、一次産業の振興、医療や教育の充実などで「帰ってきたい島をつくる」と掲げた。残る3氏も基地との共存や交付金の活用などを訴えたが、いずれも及ばなかった。

 唯一、基地への反対を明言した三宅公人氏(72)=共産推薦=は、基地整備と米軍機訓練移転の中止、交付金に頼らないまちづくりなどを訴えたが、伸び悩んだ。

西之表市長選の開票結果

八板俊輔(71)無現  2656票

池田恵衣子(70)無新 2074票

鮫島斉(47)無新   1016票

鎌田孝章(45)無新  1016票

三宅公人(72)無新  948票

浜上幸十(74)無新  803票

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