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藤本巧さん(右)が1970年の初訪韓時に撮った写真。黒い笠子帽をかぶったお年寄りがいた=2025年9月2日、大阪市北区の大阪韓国文化院、中野晃撮影
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 韓国の民芸品や原風景に触れられる特別展が9月26日まで大阪韓国文化院(大阪市北区東天満1丁目)で開かれている。日韓国交正常化60周年にあわせて企画された。

 特別展の名称は「今に続く柳宗悦(むねよし)の心と眼(め)―1937年の『全羅紀行』をめぐって」で、柳らが設立した日本民藝(みんげい)館(東京・駒場)と文化院が共催している。

 生活の美を追究する「民藝運動」で知られた柳らは36~37年、日本の植民地支配下にあった朝鮮の各地を訪ねて民衆の暮らしに根づく工芸品や生活用具を調査し、収集した。

 特別展では、柳らが朝鮮半島南西部で調査した内容をまとめた「全羅紀行」(37年)の肉筆原稿のほか、各地の工房や市場で当時収集し、民藝館が現在も所蔵する陶磁器や木工芸、竹工芸などが展示されている。

 柳らが残した記録は、韓国の現代の工芸家が、朝鮮の両班(ヤンバン)などが愛用した「彩箱」(彩色を施した竹細工の箱)を復活させる下地にもなったという。

 大阪韓国文化院のキム・ヘス院長は「柳氏らが残した記録が、私たちの文化の継承につながったことに感心しました。『民藝』を入り口に韓国の文化に関心を持ってもらえれば」と話した。

 特別展では、写真家の藤本巧さん(75)=奈良県生駒市=が日韓国交正常化から5年後の70年に初めて韓国を訪れて撮影した白黒写真約190枚分を編集した特別映像(約27分)が上映されている。

 藤本さんは、柳らがかつて足を運んだ場所をたどった。まだ朴正熙(パクチョンヒ)政権が生活環境改善のために掲げた「セマウル(新しい村)運動」が本格化する前で、地方の農村部には、わらぶき屋根の家屋など柳らがたどった時と変わらない風景が残っていた。

 在来市場では朝鮮伝統の黒い…

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