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最初に収穫した黒トリュフ。地表に少し顔を出していた=岐阜県美濃市、岐阜県森林研究所提供
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 世界三大珍味の一つで、西洋料理の高級食材として知られる「トリュフ」の仲間、黒トリュフの人工栽培に、岐阜県森林研究所(岐阜県美濃市)が成功した。

 とはいえ、成功を確認したのは昨秋の二つだけ。収穫時期となる今秋のさらなる発生に期待をかけるほか、人工栽培方法などの確立をめざしている。

 同研究所の敷地内。建物の裏手に試験地がある。

 区画は一つが幅120センチ、奥行き180センチ。2年育成した市販のコナラの根を、黒トリュフをミキサーにかけた液にひたし、条件を変えた四つの区画に植えている。

 同研究所が森林総合研究所と共同で「アジアクロセイヨウショウロ」という黒トリュフの種を使って栽培試験を始めたのは2016年から。8年がたち、当初、高さ約80センチだったコナラは今、最大で8メートルほどに育った。樹木が大きくなればその分、根にまわる栄養も増えるという。

マツタケ同様、難しい人工栽培

 黒トリュフの収穫は秋ごろという。担当の水谷和人・主任専門研究員(菌類学)は「今年の秋も、黒トリュフが出てくるかも」と期待する。

 同研究所によると、トリュフはブナ科樹木などの根にくっつき、共生しつつ地中で育つキノコ。世界中に少なくとも180種いると推定されているという。

 国内にも20種以上いるとされるが、マツタケ同様、人工栽培が非常に難しいという。

 黒トリュフを育てるにはどうしたらいいのか。ポイントとなりそうなのが土壌だ。

 水谷さんが、国内で黒トリュフが自生している場所を調べると、通常の土壌に比べて少しアルカリ性だった。そこで、一部の試験区画の土壌に市販の石灰を使ったという。

 初めて「その日」が来たのは、試験を始めて7年あまりたった23年10月のことだった。

「え、まさか」

 石灰を使った区画の地表に…

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