宮崎交通のバス=2024年12月、宮崎市、松本真弥撮影

 今から20年ほど前、私の出身地である福岡県のとある町で、1軒の中規模スーパーが閉店した。上の階には衣料品売り場もあったと思う。この地のランドマークと言ってもいい存在だった。跡地は今、広い駐車場を備えたコンビニになっている。

 同じころ、隣街にショッピングモールが進出。閉店はそのあおりも受けたのだろう。市場競争の中、こうした企業の淘汰(とうた)は珍しいことではない。

 ただ、昨今目につくのが、競争の中でもとりわけ人材獲得競争、つまり企業に重くのしかかる人手不足による負担だ。東京商工リサーチによると、「人手不足倒産」は2024年7月時点で年間過去最多を更新し、累計300件ペースで進む。

 2024年春に福岡に異動し、九州を中心に企業の取材をしている。地方では利用者の減少や働き手不足が都市部より顕著だ。一部の企業ではサービスの維持が難しくなっている。ただ、そこでの「撤退戦」は、想像とは少し違うものだった。

系統の6割が赤字

宮崎交通が導入した「宮交のるーと」=2024年12月4日、宮崎市、松本真弥撮影

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