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写真・図版
山中によく残る花沢館の城壁(切岸)=筆者撮影

北の山城・上

 北海道上ノ国町には史跡上之国館跡に指定された三つの中世の城跡がある。謎の多い北の中世の歴史を、城跡から読み解いていきたい。さて、北海道の歴史といえば、近代以降の開拓史を思い浮かべる方が多いかもしれない。しかし北海道は、縄文文化や擦文(さつもん)文化、オホーツク文化、アイヌ文化をはじめ、豊かな文化と歴史を築いてきた。

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 そして鎌倉時代になると、現在の青森県五所川原市の十三湊(とさみなと)を本拠にした安藤氏が、蝦夷管領(えぞかんれい)として北海道の権益を把握した。安藤氏は箱館(現函館市)、松前(現松前町)、上ノ国の港を中心に北海道の海産物を本州に運び、アイヌの人びとに陶磁器や金属製品、衣服、米などをもたらして、莫大(ばくだい)な富を得た。

 北海道の歴史を記した最古の…

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