背を丸め、何かを訴えている男がひとり。心の奥の奥から絞り出された声が聞こえてくるようだ。写実を追究した鴨居(かもい)玲の代表作の一つ。1973年に「廃兵」と共に第27回二紀展に出品され、文部大臣賞を受賞した。 画家の登竜門だった安井賞を69年に受賞し、画壇で注目されるようになった鴨居は、その2年…