文学座「もうひとりのわたしへ」=宮川舞子氏撮影 笑って泣けて、ほろ苦さを含んだ温かみが残る。そんな家族劇が得意とされる田村孝裕が、14年ぶりに文学座に新作を書き下ろした。出演俳優との会話から生まれたという「もうひとりのわたしへ」も確かにそのジャンルに入るが、手触りはかなり新鮮だ。 奔放な後輩の話を柔らかく受け流し、喧嘩(けんか)する両親の緩衝…