「影のない女」の一場面=寺司正彦氏撮影、東京二期会提供 初めてリヒャルト・シュトラウスの「影のない女」を見たとき、なんと胸糞(むなくそ)悪いオペラだと思った。「子供を産まない女は役立たず」というテーマが通底したファンタジーであり、登場する男たちの一言一句に「妻は夫の持ち物」という意識が宿る。女だけが意識を変えることでもたらされる、あまりにも空虚なハッピ…