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記者会見する石森雄一郎弁護士=2025年4月15日、東京・霞が関の司法記者クラブ

 政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏が、兵庫県の奥谷謙一県議の記者会見での発言によって名誉を傷つけられたなどとして160万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が15日、東京地裁であった。立花氏側が請求を放棄し、訴訟は終結した。

 奥谷氏の代理人の石森雄一郎弁護士は裁判後の会見で、「立花氏の敗訴判決に等しい。判決で事実認定をされることを避けた。極めて不誠実な対応だ」と批判した。

 奥谷氏は、斎藤元彦知事らが内部告発された問題を調べた県議会調査特別委員会(百条委員会)で委員長を務めていた。

 斎藤氏を応援するとして兵庫知事選に立候補した立花氏は昨年11月3日、奥谷氏の自宅兼事務所前で街頭演説した。奥谷氏は同18日の会見で「脅迫目的でこの行為をやっている」などと発言していた。

 立花氏側は訴状で、脅迫の事実はなく信用と名誉が毀損(きそん)された、と主張していた。一方、奥谷氏側は名誉毀損にあたらないとしていた。

 奥谷氏側は答弁書の中で、街頭演説で立花氏が「まああまり脅しても奥谷さんがね、自死されても困るのでこれくらいにしておきますけれども」と話した点に触れ「(立花氏が)脅迫行為となることを認めている」とした。

 立花氏側は先月28日付で訴訟を取り下げる意向を示していたが、奥谷氏側は「逃げることなく、正面から自身の主張の正当性を立証すべきだ」として応じていなかった。

 立花氏は裁判後、「奥谷氏と直接話し合いがしたいと申し出たところ、裁判を理由に応じられないと返答があったため、民事の方は判決を待たずに請求の放棄をした」とのコメントを出した。

 奥谷氏側は、斎藤知事らを内部告発した文書をめぐる問題で、立花氏にSNSで名誉を傷つけられたなどとして、名誉毀損容疑で立花氏を刑事告訴している。

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