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 北海道警は今月、従来の枠組みでは捉えきれない形で強盗や詐欺などを行う集団「匿名・流動型犯罪グループ」(匿流、トクリュウ)対策として刑事部を再編した。8日に発足式があり、伊藤泰充(ひろみつ)本部長が「暴力団を中心に据えてきた対策のあり方を転換させなければならない時期」と訓示した。

 昨年、全国で強盗や特殊詐欺を指示したとして、「ルフィ」などと名乗っていた男たちが逮捕・起訴された。この事件では、SNSなどで実行役を集め、事件ごとにメンバーを入れ替える特徴が明らかになった。

 こうした犯罪を行うグループは、集団の境界が不明確で、離合集散を繰り返す。警察庁はこれらをトクリュウと位置づけ、全国的に実態解明を目指すとしている。

 詐欺の手口にも変化がみられる。道内では、SNSを使った詐欺の被害が急増。投資を持ちかける詐欺や、恋愛感情を抱かせて金銭をだまし取る「ロマンス詐欺」が目立つといい、道警が認知した被害件数は、2019年の1件(約200万円)から23年には55件(約7億2800万円)になった。

 道警によると、こうした詐欺のほか、繁華街での違法風俗やぼったくりに関与するトクリュウもいるとみられる。暴力団とつながりがある可能性もあるという。

 道警は、トクリュウ対策の専門部署「組織犯罪対策1課」を新設。暴力団を取り締まる捜査4課と、違法薬物などを扱う薬物銃器対策課を統合し、「組織犯罪対策2課」とした。特殊詐欺や国際的な犯罪組織の捜査は「組織犯罪対策企画課」で担い、三つの課で連携を密にし、部門横断的に臨むという。

 端(はし)耕樹・組織犯罪対策局長は発足式で「犯罪組織の壊滅に向け、総力を挙げる」と宣誓した。(新谷千布美)

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