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天王寺高校定時制の同窓会に参加した大塚真知子さん=2025年6月15日、大阪市天王寺区、魚住あかり撮影
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 2008年に幕を下ろした大阪府立天王寺高校定時制の同窓会が、今年いっぱいで解散する。その「最後の総会」が15日、大阪市であった。約40人の元生徒らが集まり、眠い目をこすりながら通った高校生活を懐かしんだ。

 同窓会によると、同校定時制は1951年に設立された。高度経済成長期には集団就職で地方から来た若者らが、仕事の後に夜の学校へ通った。

 「サボる気は全然起きなかった。毎日、会社が終わったら飛んで行ったもんね」。7期生の古村成正さん(83)はそう振り返る。太平洋戦争が始まった41年に京都府で生まれ、空襲を避けようと家族で朝鮮半島に渡った。終戦後、小さな漁船に乗って帰ってきたのを覚えている。

 父は蒔絵(まきえ)師だったが、戦中戦後は「ぜいたく品を楽しむ時代ではなかった」。10人きょうだいを学校に行かせることはできない。末っ子の古村さんも製薬会社で働きながら、定時制へ進学した。裸電球のぶら下がる、簡素な教室を覚えている。

 書くことが好きだった古村さんは、新聞部の部長になった。ガリ版刷りの新聞発行にいそしむ傍ら、生徒議会の議長も務めた。休日には他校の定時制の生徒らとの集まりも主催した。「勉強する間もないくらい忙しかった」と笑う。「学校生活で得たものは、全部。授業も課外活動も、全部、身にならなかったものはなかったね」

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