衆院に続き、参院でも与党が過半数を割った。野党との連携なしには、政権の運営はままならなくなる。これから政治に求められることは何か。翁百合・日本総研シニアフェローに聞いた。
――参院選をどう見ましたか。
「終盤は外国人政策にも大きな注目が集まりましたが、やはり問われたのは物価高への対策だったと思います。長年の円安は、輸出をするグローバル企業には恩恵がありましたが、一般の市民には食料品などの物価高をもたらしました。とくに若者や現役世代はいろいろな不安や不満があり、変化を求めたことが、今回の結果につながっていると感じます」
――物価高による生活の厳しさをより実感しているのはどういった層でしょうか。
「若年層や現役世代のうち、働いて納税しているけれども低所得の層は、年金や医療の保険料が重く、税を合わせた負担率がOECD(経済協力開発機構)諸国平均と比べても大きいという問題があります。子育て世帯だと年収でいえば300万円くらいの世帯は、食料品などの物価高でより厳しい実感を持っていると思います。与党も現金給付を打ち出しましたが、有効な政策という印象を与えませんでした」
――野党側は、消費減税をは…