近畿大工業高等専門学校の寮などに使われている施設=三重県名張市百合が丘西6番町、同市提供

 三重県名張市は15日、製薬会社から借り上げ、近畿大工業高等専門学校(同市春日丘7番町)に学生寮として有償で貸し出してきた施設について、同社から2円で取得すると明らかにした。近畿大に無償で譲渡する方針。

 同日の市議会総務企画委員会協議会で明らかにした。

 市総合企画政策室によると、皇学館大社会福祉学部の撤退を受けて、市が熊野市にあった近大高専を誘致。2011年の開学後、田辺三菱製薬(本社・大阪市)の名張第1研修所(名張市百合が丘西6番町)を年間800万円で借り上げ、通学困難な学生らの寮として使う近畿大に年間約522万円で貸与してきた。一部は防災倉庫にも活用している。

 今回、同社の提案を受け、土地約1万平方メートルと鉄筋コンクリート4階建ての建物(築36年)をそれぞれ「1円」で買い取り、近畿大に無償で譲渡することにした。

 田辺三菱製薬は取材に「本業ではない不動産賃貸を長期にわたり継続することを総合的に検討した結果」と回答。市総合企画政策室の担当者は「学生が市で生活し、まちづくりに関わる環境を継続的に維持できると判断した」という。防災倉庫は他の市有施設に移す。2円で取得する予算案を6月議会に提出した後、登記を変更し、9月議会で近畿大に無償譲渡する案を出す予定。(小西孝司)

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