(24日、秋季高校野球奈良県大会3回戦 智弁学園10―3帝塚山)

 「自分がエースとして投げないといけない立場だと思う」

 智弁学園の田中謙心(2年)は、新チームになってすぐ、悔しさを味わった。

 1年生だった昨夏は背番号「18」、この夏は「11」と、エースナンバーに近づいていった。2年連続で甲子園のマウンドを経験した最速140キロ右腕は、「甲子園は1球で流れが変わってしまう場所」と、独特の雰囲気を振り返る。

 経験では投手陣で1、2を争う一方で、来春の選抜大会につながる秋の県大会で与えられた背番号は「10」だった。

 エースナンバーを、今夏の全国選手権でも先発登板した1年生左腕、杉本真滉(まひろ)に譲る形になった。小坂将商監督は「杉本と田中は経験があって、11番の伊藤(怜矢、2年)も使える投手」と、それぞれの投手に期待を込める。

 この日、先発した田中はスライダーやカーブを駆使し、七回コールド勝ちするまで3失点(自責点0)、10奪三振だった。「悪くはなかったけど、四球があったので修正したい」

 智弁学園は夏の甲子園で昨年は16強、今年は8強入りを果たした。ただ、春は2021年が最後の出場だ。奈良代表としても2年連続で選抜には縁がない。

 「最近、奈良代表が(選抜に)出られていない中で、やっぱり智弁学園が出ないといけない」。16年の選抜大会で優勝した先輩たちの活躍も知るだけに、責任感をにじませた。

 最上級生として臨む最後の1年。「1番を取って、エースとして投げたい」。チームのために、そして自分のためにも、プライドをかけてレベルアップをめざす。(室田賢)

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