1月に東京・羽田空港であった日本航空(JAL)の最新鋭大型機と海上保安庁機の衝突事故。その撤去作業にあたり、滑走路の早期再開に尽力したのが、富山のリサイクル企業だった。
事故は能登半島地震の翌日の1月2日夕方、同空港C滑走路で起きた。JALの機体はエアバス社の最新鋭機A350。海保機と衝突後、C滑走路北端手前の海側の芝生帯に停止して炎上したが、乗客・乗員に犠牲者は出ず、海外メディアでは「奇跡」とたたえられた。
3日朝、「豊富産業グループ」(富山市)の山川秀宏・東京支店長(66)に、JALの担当者から電話があった。「撤去をしなければならず、御社で考えていただけないだろうか」
同グループは国内で唯一、米国に本部がある「航空機リサイクル協会(AFRA)」に加盟し、解体、分別の認証を取得している。2年前、退役したJALの大型機ボーイング777(B777)の2機の解体を請け負った。ほぼ全てがリサイクルに回され、こうした前提の旅客機解体は国内で初めての試みだった。
こうした実績から今回、白羽の矢が立った。報告を受けた高倉康氏社長(70)は、すぐに解体部の担当者に「うちでいけるか?」と確認後、山川支店長に「やれるよ」と伝えた。高倉社長は「損得関係なく、何とかしようという思いで協力した」と振り返る。
山川支店長は千葉県佐倉市の…