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農園を代表する「ヴァーズ」と八木勇人さん=2025年4月16日、静岡県菊川市下内田、青山祥子撮影
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 花の中心に向かって濃い緑からクリーム色に変わるグラデーションが魅力の「ヤギグリーン」。バラ育種家の八木勇人さん(43)が初めて自分の名前を付けたグリーンローズは、結婚式で花嫁が手にするブーケとして人気だ。

 「1輪で絵になるバラ」。こんなコンセプトを掲げてバラをつくり出す。約1万平方メートルのハウスで栽培する約30品種のうち、9割以上がオリジナルだ。

 気候が温暖な静岡県は、バラの生産で全国2位の出荷量を誇る。1973年設立の「やぎバラ育種農園」(菊川市下内田)は、品種改良を手がける国内では数少ない生産者。この農園で誕生したバラは、仏語で「芸術のバラ」を意味する「Art(アール) Rose.(ローズ)」の愛称で親しまれている。

 毎年、色やかたちなどのテーマを決め、両親となる品種を選んで交配。約1万粒の種子をまく。花を観察しながらふるいにかけ、2年目に100種類、3年目に20~30種類、4年目に5種類程度と絞り込む。試験栽培で日持ちや香り、耐病性、生産性などを見極め、5~6年目に新品種として世に出すのはわずか2、3種類という。

 父恒夫さん(72)がイチゴ…

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