泣きながら墨で塗りつぶした教科書のページ(原本から)=2025年4月2日午後3時0分、兵庫県丹波市、青木康行撮影

 70歳から50冊以上の手づくり絵本を描いてきた義積(よしづみ)喜美子さん(兵庫県丹波市春日町)が今年1月、90歳で亡くなった。義積さんの代表作は「おばあちゃんの太平洋戦争」。ともに絵本の制作をしてきた「たんば手づくり絵本の会」の仲間が、ハードカバーに製本して出版することにした。

 「おばあちゃんの太平洋戦争」はB5判24ページ。義積さんが国民学校1年生のときに始まった戦争体験を、リアルに描写しつつも温かみのある水彩画だ。

 ページをめくると、校庭に立てられた英首相のチャーチルや米大統領のルーズベルトのわら人形が登場する。それを子どもたちが竹やりで突いている。当時の軍国主義教育をうかがわせる一場面だ。

 泣きながら塗りつぶした大切な教科書のこと、疎開で来た大勢の子どもたちと過ごした日々のこと。義積さんの心に焼き付いた情景がひしひしと迫る。

子どもたちに届けてきたメッセージ

 終戦の日が近づくと、義積さんには「子どもたちへ絵本の読み聞かせをしてほしい」「戦争体験を語ってほしい」との依頼が相次いでいた。晩年も地元の小学校などに出向いて絵本を開いて「戦争だけは絶対にしてはならない」と、子どもたちにメッセージを届けてきた。

 戦後80年。「絵本の会」主宰の村上祐喜子さん(70)ら会のメンバー12人が「義積さんの平和を願う気持ちがつまっている『おばあちゃんの太平洋戦争』を、たくさんの人に語り継ぎたい」と絵本の出版が具体化した。

 絵本は文字通り「手づくり」で原本は1冊のみ。2020年に義積さんが自費出版して、市内の小学校などに届けたことがあるが、1年足らずでほぼ在庫切れになった。本格的な出版は今回が初めてとなる。

目標は120万円

 出版の費用はクラウドファンディング(CF)で工面する。目標は120万円で500冊。村上さんは「今年の終戦の日までに書籍化を実現したい」と幅広く協力を呼びかけている。丹波地域の小中学校や図書館にも寄贈するという。

 支援金は5千円から。支援してくれた人には、今回の出版本や義積さんが描いた「ちぎり絵はがき」などを届ける。支援金はクラファンサイト「CAMPFIRE」で14日から受け付ける予定。

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