開星―仙台育英 校歌斉唱が終わり、応援団の待つアルプススタンドへ駆け出す仙台育英の選手たち=竹花徹朗撮影

 (14日、第107回全国高校野球選手権大会2回戦 仙台育英6―2開星)

 中前に抜けそうな打球が飛んだ。五回無死一塁。仙台育英の二塁手・有本豪琉(たける)が考えていたのは、一つだけだった。

 「ゲッツー(併殺)を取ったら流れが来る」

 ぎりぎりで追いつくと、逆シングルで捕球。体勢を崩しながらも遊撃手・砂涼人(りょうと)にグラブトス。砂は素早く一塁に転送して併殺を完成させた。

 1年生コンビが披露したビッグプレーに、球場は大きくどよめいた。

 この時、リードは1点。開星の反撃ムードをしぼませると、「流れが来る」という有本の読みが当たる。打線はその裏に1点、六回は2点を加えて主導権を引き寄せた。

 会心のグラブトスについて、「練習試合でもこんなプレーはない」と有本。隣で守る砂の安定感を信じたという。多少ミスしてもカバーしてくれる、という信頼が伸び伸びとしたプレーにつながった。

 「甲子園は1日で1年分の経験を積める」とは須江航監督だ。大舞台を踏んだ自信が、普段は出ない力を引き出す。有本の守備はまだ成長途上と明かしつつ、「そういう選手が守備で貢献したのが、甲子園らしい」。

 2022年の104回大会で初優勝した時、ベンチ入りメンバーに1年生はいなかった。今回は、この二遊間を含めて計3人。

 有本が言う。「あそこに打球が飛んだら終わりだ、と思わせるような最強の二遊間になりたい」

 伸び盛りの1年生の成長が、そのまま仙台育英の推進力になる。

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