中央アルプスでは半世紀にわたってライチョウの目撃情報がなく、絶滅したとされてきた。ところが、環境省の「復活作戦」が本格化した2021年以降に右肩上がりで増え、25年は約190羽になった。復活のきっかけをつくったのが、近隣の山域から飛来した1羽のメスの存在だ。
「飛来メス」と呼ばれるこの個体は北アルプス方面から飛んできて、18年に中央アルプスで生息が確認された。ライチョウのメスは、オスがいなくても本能的に無精卵を産んで抱卵する。羽根やふんとともに、卵3個が残された巣も見つかった。
中央アルプスでの繁殖につなげようと、19、20年には国内のライチョウが産んだ有精卵を、飛来メスが産んだ無精卵と入れ替えた。計10羽のヒナがかえったものの、天敵の影響などで全滅してしまった。
子孫は残せるのか
飛来メスが初めて子孫を残す…