1週間で三つの文学賞を取った。謎解き重視の本格ミステリ大賞、ミステリー界で最も権威のある日本推理作家協会賞、さらに大衆文学全般から選ぶ山本周五郎賞。異例の快挙に、青崎有吾さんは「高校生がゲームをするだけの話なのに……」と驚くばかりだ。
受賞作「地雷グリコ」(KADOKAWA)は殺人事件が起きるわけでも、名探偵が出てくるわけでもない。高校の文化祭の場所取りなどを賭け、生徒たちがジャンケンや、だるまさんがころんだといった、誰もが知る遊びにひねりを加えたゲームを繰り広げる。ロジック(論理)に裏打ちされた息詰まる頭脳戦は、読者を勝負の場にひきずりこむ臨場感に満ちている。
「ギャンブル漫画を青春小説のフォーマットでやってみたかった。大金や生死とまではいかなくても、譲れない大切なものを賭けて戦うことって、誰しも日常にあると思うんです」
漫画に映画に小説に、物語が…