佐々木敦美(右)と曳地隆元が旧吉田家主屋のPRに制作したマンホール=2025年7月2日、岩手県陸前高田市、東野真和撮影

現場へ! バラバラ文化財の再建(5)

 「震災前は礎石の上に柱を載せただけでしたが、今の建築基準では認められないので、石をくりぬいてボルトを埋め込んでいます」

 7月上旬。岩手県陸前高田市職員の佐々木敦美は、観光まちおこしに関心がある若者らを前に、再建された岩手県指定有形文化財の旧吉田家住宅主屋について説明した。

 昼になると座敷で一緒に机を囲み、地元食材を使った弁当を食べて「他の観光地から回遊してもらえればいいね」などと活用案を出し合った。

藩主や家来が泊まったり執務に使ったりした畳の間で、昼食会をする若者たち=2025年7月2日、岩手県陸前高田市、東野真和撮影

 2020年、市教育委員会に新設された文化財係で復旧事業担当になった佐々木。それまで、今泉地区の旧吉田家を見に行ったことさえなかった。

 旧吉田家の再建は、市が復旧事業として進めた。10億円に及ぶ事業費の算段には苦労した。佐々木が着任するまで、他自治体からの応援職員が交代で担当するなどしていたが進展ははかばかしくなかった。

「このままでは建たないぞ」

 「このままでは建たないぞ」…

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