岩手県教育委員会は5日、2026年度から35年度までの県立高校を対象とした再編計画の当初案を発表した。少子化による生徒数の減少に対応し、現在59校ある県立高校を、35年度には44~48校にまで減らす方針を示した。
再編案には、遠野緑峰高校と遠野高校、金ケ崎高校と水沢高校の統合や、宮古水産高校への県内水産科の集約などが盛り込まれている。
県によると、県内の中学校卒業者数は1964年の4万369人をピークに減少を続けており、2000年に1万7874人、25年は9715人とピーク時の4分の1以下にまで減った。さらに35年には、6839人程度にまで減ると予測されている。
県は学校統合や学級数の削減により募集定員を減らしてきたが、今年度の1校1学年あたりの平均学級数は3.61学級にとどまり、3学級以下の学校が全体の約半分を占めるまでになっている。
現状のままでは、35年度には1校1学年あたりの平均学級数が2.02学級になる見通しで、県教委は「多様な教育活動の実施にも支障を来す」としている。
また、県が定める高校の最低規模は1学年2学級とされるが、1学年1学級の学校が地域の活性化に重要な役割を果たしているとして、今年度時点でそうした普通科10校を「地域校」として位置づける方針も示された。一方で、教育の質を確保するためには「1学年20人以上の規模が必要」とし、入学志願者数が2年連続で20人以下となった場合は、原則として翌年度から募集を停止する。
また、入学志願者数の実績や進学の推計により、27年度に大野高校と大迫高校が、30年度に宮古北高校が募集停止の見込みだ。
県は今後、地域住民らが加わる「地域検討会議」や県民説明会の開催、パブリックコメントの実施、子どもからの意見聴取などを行う。11月中旬に修正案を公表し、来年4月をめどに再編計画を策定する予定だ。
統合する県立高校
【28年度】 水沢と金ケ崎→水沢の校舎を利用予定
【29年度】 遠野と遠野緑峰→遠野の校舎を利用予定
【31~35年度】 水沢工業と一関工業