ビゲロイの絵が表紙に描かれた科学雑誌「サイエンス」を持つ萩野恭子さん。米国科学振興協会から賞状を贈られた=2025年2月20日、高知県南国市の高知大海洋コア国際研究所、蜷川大介撮影

 世界的な科学雑誌「サイエンス」を発行する米国科学振興協会は2月、高知大と米カリフォルニア大の共同研究グループの論文を年間最高賞に選んだ。海中を浮遊する植物プランクトンの生態に関する新発見。高知市の自宅で培養を続けた「ポスドク」(期限付き研究職)の女性研究者が、決定的な役割を果たした。

 その発見は、藻の一種である植物プランクトン「ビゲロイ」に関するもの。

 高知大の研究メンバーによると、100分の1ミリほどの大きさのビゲロイが外部の細菌を取り込んで体の一部(細胞内小器官)にし、窒素をアンモニアに変えていることを初めて確認した。

 細菌に直接的に由来する細胞内小器官は、葉緑体とミトコンドリアでしか確認されておらず、「画期的発見」だった。

発見の原動力となったのは、ビロゲイを採取するため、十数年にわたりバケツで海水をくみ上げ続けた女性研究者でした。壁にぶつかったとき、転居先で出会った専門家に思いもかけないアイデアを提示されたことが、「教科書のページを書き換えるような発見」につながります。

 生命に必須の元素である窒素…

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