1ドルコンサートで坂戸真美さんがルーシーを演奏した=2025年6月18日午後0時20分、横浜市西区、村上潤治撮影

 入場料100円で楽しめる横浜みなとみらいホール(横浜市西区)の名物企画「オルガン・1ドルコンサート」が、今年で250回を超えた。大ホールの舞台正面に据えられたパイプオルガン「Lucy(ルーシー)」の本格的な演奏を気軽に楽しんでもらおうと1998年の開館から始め、27年間でのべ31万8千人が訪れた。

 アメリカ製のルーシーにちなみ、平日の昼間に1ドル(紙幣のみ)または100円で約30分の演奏を聴くことができる。予約も不要で、これまでに一線で活躍するオルガニストら153人が出演した。

 3月に250回目を迎え、6月18日の253回目のコンサートには、国内外で活躍するオルガニストの坂戸真美さんが出演。デュプレの「行列と連祷」などを演奏すると、観衆から大きな拍手が送られた。

 坂戸さんは「留学していたフランスでは日曜に教会の無料コンサートがあり、オルガンを耳にする機会が多かった。日本で多くの人に聴いてもらう、とてもいい機会です」。

 ルーシーは同ホールのシンボルで、「光」を意味するラテン語「lux」に由来する。現代オルガン建造のパイオニアとされる、米・フィスク社がボストン近郊の工房で制作、仮組み、解体して船で運んだ。1年がかりで組み立て、整音。設計から7年かけて完成した。パイプは4632本。ホール全体が一つの楽器のように共鳴する。

 250回目のコンサートの来場者にアンケートしたところ、「パイプオルガンの音色、迫力に心が癒やされた」「音色の幅広さと響きの豊かさに圧倒された」「これからもぜひ続けて」などの声が寄せられた。

 次回は9月24日。濱野芳純さんがバッハの「バビロン川のほとりで」などを演奏。年内は11月26日にも野田美香さんが出演する。問い合わせは同ホール(045・682・2000)へ。

弾けば弾くほどポテンシャルが上がる

 横浜みなとみらいホールのホールオルガニストを務める近藤岳(たけし)さん(52)は、1ドルコンサートに5回出演し250回目の演奏も担当した。

 ――ホールオルガニストの仕事とは

 一番大切なのは、オルガンが常に良いコンディションで演奏できるか把握すること。パイプの音がにごっていないか、鍵盤などのアクションが正常に動くか、くまなく見るのが役割。主催コンサートへの出演者の提案や、ホールのオルガン事業全体にかかわる企画、立案などもしている。

 ――オルガニストになったきっかけは

 東京芸大で作曲を学んでいた…

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