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アルプススタンドでのPL学園の人文字=1983年8月、阪神甲子園球場
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 阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)は、1日に開場100周年を迎えた。7日からは第106回全国高校野球選手権大会が開幕する。

 PL学園(大阪)の「人文字」や習志野(千葉)吹奏楽部の「美爆音」。甲子園球場のアルプススタンドで繰り広げられてきた応援は、高校野球には欠かせない風物詩だろう。

 球場が開場してから5年後の1929(昭和4)年、内野スタンドと外野スタンドに挟まれた木造20段のスタンドは、鉄筋コンクリートの50段へ改築された。

 その当時、大阪朝日新聞で漫画を連載していた岡本一平氏(芸術家・岡本太郎氏の父)は、白いシャツを着た観衆と大きなスタンドを壮大な雪の山脈にたとえた。

 「素敵ニ高ク見エル、アルプススタンドダ、上ノ方ニハ萬年雪ガアリサウダ」

 諸説はあるが、この漫画が新聞に掲載されたことで、アルプススタンドと呼ばれ始めたともいわれている。

 アルプス山脈を想起させるほど大きなスタンドの下を有効利用しようと、32年には三塁側に25メートル6コースの室内温水プールが造られたこともあった。

 アジア大会の前身となる極東大会の予選も開催。36年ベルリン五輪の競泳金メダリスト・葉室鉄夫氏は「浄化設備も整って水もきれい。当時の日本としては最高級のプールだった」と回顧している。

 外野スタンドも36年に改築された。アルプスに対して「ヒマラヤスタンド」と命名されたが、その愛称が定着することはなかった。(斎藤孝則)

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