富山県南砺市の城端地区は、近世に始まった絹織物で栄えた歴史を持つ。その面影を伝える昭和初期の建築が今春、交流の場に生まれ変わった。活用に名乗りをあげて取り壊しの危機を救ったのは、絹織物製造の松井機業6代目、松井紀子さん(40)だ。

 国登録有形文化財の建物は、れんが造り風にタイルを貼った木造2階建て。施設名は、以前の呼称に英語を冠し「SHAREじょうはな織館(おりやかた)」という。「地域の人や観光に来た人が、場所だけでなく幸せや喜びをシェア(共有)できる場に、という思いを込めました」。

再生させた「SHAREじょうはな織館」の前に立つ松井紀子さん=2025年6月5日、富山県南砺市城端

 目玉は、テナントとして入居してもらったベーグル店だ。ランチなどを提供するカフェを1階に開き、訪れる人が本を読んだり、借りたりできる「シェア本棚」を併設している。

 松井さんが運営するワークショップスペースは地域の人に開放し、ライブや体験教室など、思い思いに活用してもらう。

 建物は約100年、街の移り…

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