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開催中の企画展示「歴史の未来―過去を伝えるひと・もの・データ―」=2024年10月9日、千葉県佐倉市城内町、中野渉撮影
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 国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)で、歴史に焦点を当てた企画展示「歴史の未来―過去を伝えるひと・もの・データ―」が開かれている。古代の歴史書編纂(へんさん)から新型コロナウイルス関連の記録まで、同館などが所蔵する計約160件の資料を元に、人々が過去を「歴史」と捉える営みを紹介する。

 企画展示は、「あなたが100年後に残したいものは何ですか?」をテーマに、六つの章とエピローグで構成されている。

 たとえば、過疎化が進む現代において、地域社会の変容と向き合い、歴史資料をどう継承していくか、などを考える機会としている。その一つとして、地域社会と歴史研究者との対話を通して様々な歴史が再発見される経緯を、茨城県常陸太田市の正宗寺・文殊院の実物資料などから紹介する。

 来年で発災から30年になる阪神・淡路大震災も取り上げる。避難所に設置された看板や支援物資、貼り紙、チラシ、ポスター、ミニコミ誌などの展示を通し、大災害での対応過程や復旧・復興に向けた経過に、思いをはせることができる。

 また、最新技術を活用した歴史資料のデジタル化事情を紹介し、未来を見通す手がかりを考える場にもしてもらう。

 展示副代表を務める同館の天野真志准教授(日本近世・近代史)は「過去の出来事から歴史的な意味を見いだす営みは、必ずしも特定の身分や立場の人々に限定されたものではなく、それが今も脈々とつながっている。過去と現代とをリンクさせながら鑑賞してもらえたら」と話す。

 12月8日まで。一般1千円、大学生500円。高校生以下は無料。問い合わせは、ハローダイヤル(050・5541・8600)へ。(中野渉)

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