SNS上で「投資の講師」になりすまし、現金をだまし取る。こんな手口の大規模詐欺事件で大阪府警は7月以降、計107人を逮捕した。取材を重ねると、首都圏で相次ぐ「闇バイト」による凶悪事件とは対照的な、システマチックながらもどこか緩やかに映る犯罪組織の姿が浮かび上がってきた。

捜査で判明している組織のイメージ図

 「生活がキラキラしていると憧れる」

 「不安をあおり『対策しないと』と思わせる」

 勧誘相手の関心を引くためのポイントだ。府警が一斉摘発した組織の拠点で見つかった「営業指針」に記されていた。

 「1カ月目で100万円達成が7人。一緒に頑張っていきましょう」

 こんな営業トーク例も、押収品の約2600台のスマートフォンの大半に保存されていた。

大阪府警が押収したスマホには「1か月目で100万円達成が7人、1番稼げなかった生徒さんでも50万円は稼いで……」といった営業メッセージ例が保管されていた=2024年10月11日、大阪市住之江区、高井里佳子撮影

 府警は7~10月、インスタグラムやLINE上で「投資の講師」になりすまし、情報商材を売る名目で客から現金をだまし取ったとする詐欺容疑などで107人を逮捕、5人を公開手配した。

 「闇バイト? 捜査中だが、違うと思う」

 捜査幹部がこう語る大組織は、どのように運営されていたのか――。

1人で数十台のスマホ 採用に「面接」

 府警によると、107人の大…

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