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クロワデュノールと日本ダービーに挑む北村友一騎手=滋賀県栗東市
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 2024年12月28日、中山競馬場。その騎手は勝利者インタビューの壇上にいた。

 「またGⅠを勝つことができました」と言った後、言葉に詰まる。むせび泣きながら続けた。

 「……本当に、たくさんの方々に助けて頂いて、応援して頂いて、ここにまた導かれたのだと思います」

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 日本中央競馬会のジョッキー、北村友一(38)。一気に輝きを増した全盛期と、のちに襲った不運。そのコントラストの強さが激動のキャリアを物語る。

 19年3月、大阪杯で9番人気の伏兵を優勝に導き、デビュー14年目にして初のGⅠ勝ちを収めた。10月には牝馬(ひんば)3冠の最終戦となる秋華賞、12月には2歳戦の阪神ジュベナイルフィリーズと、相次いでGⅠタイトルを手にした。

 翌20年は、デビューからコンビを組む秋華賞馬クロノジェネシスとともに飛躍した。宝塚記念、有馬記念のグランプリ連覇を達成。牝馬では史上2頭目の偉業だった。

 21年の年明けには、愛美さん(33)との結婚を発表。仕事もプライベートも順風満帆。騎手生命を脅かす落馬事故にあったのは、その年の5月だった。

 阪神競馬場でのダート戦。騎…

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