握手を交わす聖光学院の斎藤智也監督(右)と鶴岡東の佐藤俊監督=2024年8月6日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場、酒本友紀子撮影

 第106回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高校野球連盟主催)に3年連続19回目の出場となる聖光学院は11日、2年ぶり8回目出場の山形代表・鶴岡東との初戦に臨む。よく練習試合をするが甲子園では初対戦という両チームの監督に、互いの印象や意気込みを聞いた。

 ――隣県対決になった

 聖光学院・斎藤智也監督 甲子園でやるのに東北大会はやめてくれと思った(笑)。ツルトウ(鶴岡東)さんとはすごく仲良しなので主将に(横のくじを)引いてほしくなかったが、それがうちの主将の持つ運勢なんだろうと切り替えた。

 鶴岡東・佐藤俊監督 びっくりの一言。よくよく考えれば、尊敬している斎藤監督のチームと晴れの舞台で試合ができるのはすごく喜ばしいことだなと思った。

 ――相手の印象は

 斎藤 東北の先頭を走っており、非常にやりづらい。毎年、投手力が充実していて、左の下手から右の下手まで、時計で言うと4時から8時までの角度を持っている。育成も起用もうまく、目先を変えて相手打者を翻弄(ほんろう)するので、監督の采配を一番警戒している。(いずれも左の)桜井椿稀、杉浦朔両投手を打ち崩すのは難解だ。

 佐藤 ここ十数年、東北の野球をリードされてきて隙がない。逆にこちらが少しでも隙を見せたら一気にもっていかれるイメージを常に持っている。投手陣は誰が投げてもそうそう点は取れないと思う。私自身は試合中、斎藤監督をあまり見ないように意識しているが、ベンチで斎藤監督が怒っていたらしめしめと思っている(笑)

 ――チームの状態は

 斎藤 県内は無双状態だが、「内弁慶の外みそ」という感じなので、一歩外へ出てからの強さは経験がない。地方大会を通して粘り強くなり、食らいつきも増して確かに成長した。決意と覚悟で乗り切り、魂を結集して戦う形ができつつある。打率が低いまま地方大会を終えた先頭打者の竹田一遥が、調子をいかに上げて「切り込み隊長」になるかが鍵だ。

 佐藤 地方大会では体調が万全でない選手が何人かいたが、劣勢な試合も落ち着いて冷静に戦ってくれた。「試合準備に関してはいつも100点を取れる」という話を常々している。調子が良くなかった選手に期待。特に(エースで4番打者の)桜井は全てにおいて上げてきてほしい。リフレッシュした気持ちで戦ってもらいたい。

 ――理想の試合展開は

 斎藤 1点を上回る勝ち方しかできないと思う。ロースコアでうちが踏ん張るしかない。最後の1点をどう取り、最後の1点をどう抑えるか。そこが鍵になると選手たちには話している。

 佐藤 理想と現実はいつも違うので、あまりイメージを持たず試合に入っている。ワンプレーワンプレーに没頭して、試合が終わった時に勝った負けたという結果がついてくる。理想を追い求めた野球はしない。

 ――意気込みを

 斎藤 日曜日で客がたくさん入り、応援態勢にもめぐまれた日に試合ができる。選手にとってはやりがいがある。感謝しながら思い切り堂々とプレーしてほしい。

 佐藤 選手には甲子園という晴れ舞台でハッスルし、躍動してもらいたい。(酒本友紀子)

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