ギリシャの首都アテネで2024年1月、代理出産で生まれた双子と遊ぶシングルファーザー=ロイター

 11月19日は「国際男性デー」(記事末尾にキーワード解説)です。「男らしさ」といった固定観念を見直し、男性の心身の健康について考えたり、ジェンダー平等を推進したりする日と位置づけられています。日本ではどんな取り組みをしていけばいいのでしょうか。立命館大学研究員でマイノリティー問題に詳しい国際社会学者の下地ローレンス吉孝さんに聞きました。

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 ――「国際男性デー」は、日本ではまだあまりなじみがありません。

 知名度は低いですよね。3月8日の「国際女性デー」と違い、国連の定める記念日にはなっていません。

 男性が優位になる社会構造が歴史的に連綿と続いてきたため、まずはその構造に抑圧、差別されてきた女性やマイノリティーに着目し、支援する活動が国際的に展開されてきました。

 ――近年は、男性の孤立も問題になっています。

 日本における男性の自殺率の高さや過労の問題は、注視して支援などをしていく必要があります。

 家父長制が根強く残ってきた社会では、男性を優位とする社会構造ができていますが、それは同時に、その権力は男性自身の首をもしめつけています。

 「男性は強くあるべきだ」という固定観念のせいでなかなか心身の悩みを他者に相談できなかったり、支援の対象になりにくかったりしてきました。結果として、メンタルヘルスの問題を生んでいるのだと思います。

日常化する「男性優先車両」

 ――十分に目を向けられてこなかった男性の悩みがあるんですね。

 男性の性と生殖、男性の育児…

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