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新潟県立新潟向陽高校に統合する県立新潟翠江高校の校舎=新潟市西区、新潟翠江高校提供

 新潟県教育委員会は26日、2026年度から4年間の県立高校等再編整備計画を発表した。新潟翠江高校(新潟市)と新潟向陽高校(同)を統合するなど、計12校を6校に統合する。少子化が急速に進む中、1校ごとの生徒数が減っており、規模を確保する狙いがある。

 県は16年に県立高校の「将来構想」を策定し、1学年あたり3学級以下の学校は統廃合を進める方針で再編を進めようとした。だが、地元の反発もあって難航。代わりに1校当たりの学級数を減らし、各校の小規模化が進んだ。今年度は全校で3学級以下の県立学校の数が4学級以上の学校数を初めて上回った。

 そこで、県は今年3月に25年度から10年間の新たな「将来構想」を発表。県内を六つのエリアに分け、交通事情などを考慮しながら、①4学級以上の普通科高校②3学級以上の専門系高校(工業高校など)③一人ひとりの状況に合わせて学べる高校(通信制など)――を各エリアに1校以上配置する方針を掲げた。学校数は86校から64校に減らすとした。

 この日発表した計画は、この「将来構想」を踏まえ、4年分を具体化したもの。これまでは3年分の計画を公表してきたが、地域別説明会やパブリックコメントで「できるだけ早く示してほしい」という声があったため、進学を控えた小学6年生や保護者にも高校の姿を事前に把握してもらうようにした。柏崎市のほか、村上、新潟、長岡、三条各市の12校を6校に統合する。定員割れが生じていることや地域バランスを踏まえて選んだ。

 また、高田南城(上越市)と新潟向陽(新潟市)、長岡明徳(長岡市)を「セルフデザインハイスクール」と新たに位置づけ、全日制と通信制を併置するなどし、それぞれの単位取得などを柔軟に行えるようにする。学校に通えなくなっても、通信制に転籍して同じ学校で学び続けられるようにする。公立高校では珍しいという。

 県教育庁高等学校教育課の頓所(とんしょ)裕史課長は統合の理由について「高校の小規模化は教育の質の面からみても大きな課題で、限界がきていた」と説明。通信制の併置については「不登校の生徒が増える中、県立の全日制から私立の通信制に転校してしまう生徒が多い状況を改善したい。理科の実験室や体育館といった施設が充実しているのは私立の広域通信制にはない強みになる」と語った。

 また、国際情報高校(南魚沼市)には海外大進学資格が取得できるカリキュラム「ケンブリッジ国際教育プログラム」を導入する。国際情報高校は27年度に募集停止とし、同プログラムの導入とともに「国際フロンティア高校(仮称)」を新たにスタートする。数学や理科、地理歴史などについて英語で授業を行い、海外の大学の入学資格が得られるようにする。論理的思考力などを養う一方、国内大学の進学にも対応する。頓所課長は「現状は海外留学する生徒が少なく、ロールモデルが身近にいない。魅力ある学校として県外からも選ばれる学校にしていきたい」と話した。

 来年度の募集学級数や募集定員は9月に案を公表。10月下旬の教育委員会を経て正式決定する。

統合する県立高校(一部は校名も変更予定)

【2026年度】

 新潟北と豊栄→新潟北

 柏崎と柏崎翔洋中等教育→柏崎(付属中を併設)

【28年度】

 村上と村上中等教育→村上(付属中を併設)

 正徳館と長岡明徳→長岡明徳

【29年度】

 新潟翠江と新潟向陽→新潟向陽

 県央工業と三条商業→新たな産業高校

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