Smiley face
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15歳の時にモデルを務めた中村正義「女」(1957年、豊橋市美術博物館所蔵)と対面する西出文子さん(手前)。奥は中村の長女、倫子さん=2025年6月28日、奈良市登大路町、今井邦彦撮影
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 奈良県立美術館で開催中の特別展「生誕100年 中村正義(まさよし)―その熱と渦―」(同館主催)に、展示作品のモデルになった女性が訪れ、68年前の「自分」と対面した。日本画家・中村正義(1924~77)の遺族のはからいで実現し、アトリエに立った記憶が鮮やかによみがえった。

 女性は滋賀県栗東市に住む西出文子さん(83、旧姓中湖)。1957年、中村の名古屋市の自宅で「お手伝いさん」として働いていた。当時、中村は結核の療養を終えて退院したばかりで、復帰作に取り組んでいた。

 「突然『ふーちゃん、ここに立ってモデルになって』と言われて、びっくりした」と文子さん。中学校を卒業したての15歳だった。中村と、助手としてつきそう妻のあやさんの前で、赤い襦袢(じゅばん)姿でじっと立ち続けた。「次に『ヌードになれるか』と言われたけれど、『いやです』とお断りしたのを覚えています」

作風の転機に

 完成した作品のタイトルは「…

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