将棋の棋士養成機関「奨励会」に在籍する山下数毅(かずき)三段(16)が12日、大阪府高槻市の関西将棋会館で指された第38期竜王戦5組ランキング戦決勝(読売新聞社主催)で高田明浩五段(22)に勝った。藤井聡太竜王(22)=名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖と合わせ七冠=への挑戦者を決める決勝トーナメント(決勝T)進出を決めた。いわば「棋士のたまご」のような存在の奨励会員が、トップ棋士が集結する竜王戦決勝Tに進出するのは初の快挙だ。

 5組で優勝した山下三段が、決勝Tで5連勝すれば挑戦者決定三番勝負に進出。そこで2勝すれば、竜王戦の挑戦者となり、藤井竜王に七番勝負を挑むことになる。

 山下三段は前期竜王戦6組で準優勝して5組に昇級。今期5組では1回戦で井上慶太九段(61)に不戦勝した後、藤本渚六段(19)=対戦当時は五段=、出口若武六段(30)、山本博志五段(28)と強豪を相手に勝ち続け、決勝に躍り出た。

 5組決勝の対戦相手、高田五段は同じ森信雄七段(73)門下の兄弟子。振り駒で先手番は高田五段に決まり、対局は午前10時に始まった。「相雁木」の戦型になり、開始間もない同30分には同一局面が4回出現する「千日手」(引き分け)が51手で成立。同45分から、先手後手を入れ替えて指し直しとなった。

 指し直し局で後手番になった高田五段は「今の自分にとって一番自信がある形」という後手番の一手損角換わり戦法をぶつけた。ただ、山下三段が徐々にリードを広げる展開になり、午後9時14分、137手で山下三段が勝った。

 終局後、山下三段は「(6組…

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