2024年9月、地元・福岡の海辺で撮ったもの。いまも治療を受けながら、回復の道のりを歩んでいる=緒方水花里さん提供

  6歳のとき、母親が出て行った。

 緒方水花里(みかり)さん(27)は、その時のことを今でも覚えている。

 朝起きたら、母親がいなくなっていた。一番下の妹が、1歳の誕生日を迎えた翌日だった。「どうしてママは帰ってこないんだろうね」と、クマのぬいぐるみに話しかけた。

 それからは父親が、緒方さんと幼い2人の妹の世話をするようになった。

 父親は自分なりに努力しているようだったが、ふとしたことで怒り出し、手を上げることもあった。

 暴力や暴言はつらかった。ただ、それと同じくらい、「食べ物」にさいなまれた。

むさぼったパンや菓子 心の隙間うめるように

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 母親がいなくなってから、手…

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