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 「卒業証書」を見せた時間は、19・2秒か10秒か。まるで短距離走のタイムのような攻防が、市長の学歴詐称疑惑で揺れる静岡県伊東市議会を舞台に繰り広げられた。浮かび上がるのは、田久保真紀市長と中島弘道議長らの双方が、面談でのやりとりを録音していたという不信感の深さにほかならない。

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静岡県伊東市議会の百条委員会を終え、報道陣の質問に答える中島弘道議長(右)と青木敬博副議長=2025年8月13日午後3時37分、静岡県伊東市大原、南島信也撮影

 人口6万4千人弱の小さな自治体の市長の学歴詐称問題が街を揺るがす大騒動になったのは、田久保氏が中島氏らに「卒業証書」とされるものを「チラ見せ」したことがきっかけだった。疑惑が持ち上がって間もない6月4日のことだ。

 「チラ見せ」だったのかどうか。田久保氏は13日の市議会の調査特別委員会(百条委員会)で、市長選で支持を受けた共産党市議の質問に答え、「約19.2秒ほど見ていただいた」と、いきなり具体的な数字を挙げて「チラ見せ」を否定した。

 計測のスタート時点が違うという中島議長と青木敬博副議長は10秒だとしている。両氏が明かした記録によると、やりとりはこうだ。

 2人が市長室を訪ねた。田久…

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